定款には次の事項を必ず定めなければなりません。
1.会社の目的
ここでいう目的とは、いわば会社の事業内容のことであり、従来のように具体的に定める必要はなくなったが、明確性を有し、適法性を欠くものではないことが必要です。
2.商号
旧法下では、類似商号が禁止されていましたので、同一市町村内で同一の目的を有する会社と類似の商号を用いることは禁止されていましたが、会社法ではこの規制は撤廃されたため、同一市町村内で既存の会社と目的、商号が同一でも設立することはできるようになり、既存の会社との利害は不正競争防止法により解決を図ることとなりました。ただし、既存の会社と同一の本店所在場所に同一商号の会社を設立することは禁止されています。
3.本店の所在地
本店の所在する最小行政区画(東京都では区まで、政令指定都市では市まで)を定めればよく、具体的な所在場所(丁目、番、号)は定款で定めなくても構いません。
4.設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
旧法下では、株式会社については1000万円、有限会社については300万円が最低資本金として定められていましたが、会社法ではこの規制は撤廃され、出資額1円でも会社を設立することができるようになりました。
5.発起人の氏名または名称および住所
Ⅱ 絶対的記載事項以外の定款記載について
以下の事項は、必ずしも定款で定める必要はない(相対的記載事項(=定款に記載しなければ効力が生じない事項)ないし任意的記載事項(=記載するか否か任意にゆだねられている事項))ですが、一般的に記載されることが多いものの中から主要なものをピックアップして解説しております。
1.公告方法
公告コストの少ない官報がおすすめです。会社法上、公告方法を定めなかった場合、公告をする方法は「官報」とするとされていますが、この場合でも定款に記載するのが一般的です。
2.株式の譲渡制限規定
旧法下では、譲渡の承認機関は取締役会に限定されていましたが、会社法下では、承認機関を株主総会や代表取締役とすることも可能となりました。
3.機関
会社法下における株式会社の機関設計は多様化され、何パターンもの組み合わせが可能となりました。この機関設計により定款の記載内容も大きく変わってきます。取締役会や監査役を置くか否か等で機関に関する記載だけでなく、会社の意思決定機関の記載等の細かい点にも影響がでますので、注意が必要です。(役員の任期等を含め機関設計については、別の項で詳しく解説します。)
上記以外にも、会社の実情・今後の展開を見越した内容を盛り込んで、定款を完成させます。
定款認証
発起人が作成した定款は、公証人の認証を受けなければ効力が生じません。
定款認証に際しては、公証人の定款認証手数料として1件につき5万円、謄本作成手数料として1枚250円が必要です(平成19年7月現在)。
また、収入印紙4万円が認証の際に必要となりますが、電子定款の認証に際しては収入印紙の貼付が不要ですので、費用負担が少なくてすみます。
当事務所では、電子定款の作成及び認証代理を行っております。従来の紙ベースの定款より、4万円安く設立可能です。
出資の履行
発起人は、自己が引き受けた株式について、出資が金銭による場合はその全額を払い込み、金銭以外の出資(現物出資)による場合は、出資すべき財産を給付しなければなりません。
金銭出資の際、旧法下では金融機関に払い込み、払込金保管証明書の交付を受ける必要がありましたが、会社法下では、発起設立の場合、発起人の個人の口座に入金すれば足りるとされ、費用負担が少なくなるとともに、設立準備期間が短縮されることになりました。
設立時役員等の選任
発起人は出資の履行完了後、遅滞なく、設立時取締役(監査役)を選任しなければなりません。また、設立する会社が取締役会設置会社である場合、設立時取締役は、設立時代表取締役を選任しなければなりません。
設立時取締役等の調査
設立時取締役は選任後、遅滞なく、出資の履行や現物出資された財産の価額の相当性等を調査し、問題があればその旨を発起人に通知しなければなりません。
設立の登記
株式会社は、本店所在地を管轄する登記所において登記することにより成立します。この場合、登記を申請した日が会社設立日となり、法律上、会社として認められることになります。ただし、実際の取引を開始するには、登記事項証明書や印鑑証明書が必要となることが多いので、これらの書類は登記が完了するまで交付されません。登記完了までの期間は、時期や法務局によって異なりますが、大阪法務局管下では大体1週間程度かかります。